3人入った瞬間に崩れる
単独の寄りはまだそれっぽいのに、複数人会話になると一気に破綻する。前のカットでは林知夏が机の右前にいたのに、次のカットで急に左へ飛ぶ。周衡は黙っているはずなのに口が動く。陈总は入口で二人を圧していたのに、逆カットでは机の脇に座っている知らない人になる。机の上の契約書、録音機、スマホまで勝手に動くので、編集で全然つながらない。
この手の問題は「一貫させて」でどうにかなるものではない。AIショートドラマの複数人同フレームは、まず空間を固定し、その次にキャラを固定し、最後に話者を固定する。立ち位置、視線、台詞、口パク、字幕セーフゾーン、編集の保険まで、生成前に同じ制作フローへ入れておく必要がある。そうしないと、ガチャを回して似た一枚を見つけるたびに無理やりつなぐことになり、あとで全部ずれていく。
ArcLoopでは、やり方はもっと単純だ。AIショートドラマガイド で複数人カットの構造を切り分け、キャラアセット庫 で顔、衣装、声、変更禁止項目を分け、創作空間 で立ち位置図、ショット表、アフレコ割り当て、チェック結果をひとまとめにする。複数人会話は毎秒みんなを同じフレームに入れる必要はない。空間と視線がつながっていれば、単独リアクション、証拠の寄り、2人の関係カットでも同じ場面だと信じてもらえる。
この話でやるのは、すぐ使えるやり方だ。まず場面配置図を描き、15秒と30秒のショット表に分け、口パクと編集のチェックをして、最後に最小限の撮り直しで破綻を直す。
複数人会話を崩さない3本柱:空間・身元・声
1本目は空間だ。複数人会話では、人物の位置、家具の位置、小道具の位置、カメラ方向、視線の関係で、関係性が読めるかどうかが決まる。ヒロインが右前景にいれば、問い詰めている側だと分かる。主人公が左後景にいれば、押されている側だと分かる。悪役が入口に立てば、逃げ道をふさいでいると分かる。位置がずれると、場の圧が消える。
2本目は身分だ。複数人同フレームでは、顔違い、借り顔、役者差し替えが一番起きやすい。単に「ヒロイン、主人公、悪役」と書くだけでは足りない。キャラ番号でキャラアセット庫につなぐ必要がある。例えば ZH-001 林知夏、短い黒髪、アイボリーのスーツ、銀のピアス。ZH-002 周衡、ダークグレーのシャツ、細フレーム眼鏡、左手の指輪跡。ZH-003 陈总、黒いコート、面長、金の袖ボタン。画の中で見分ける錨点を全員に持たせる。
3本目は声だ。口パクは最後に音を貼る話ではなく、絵コンテの段階で「どの台詞を誰がしゃべるか、誰が聞くか、誰が遮るか、誰が黙るか」を決める話だ。複数人のカットは、1カット1人の主話者が基本。残りは聞き役に回す。2人が長台詞を同時にしゃべると、ほぼ口パクの地獄になる。
場面配置図は、きれいに描く必要はない。撮影現場の俯瞰図だと思えばいい。ドアはどこか、窓はどこか、机の向きはどうか、誰が前景か、誰が後景か、重要な小道具はどこに置くか、カメラA/B/C/Dは誰を撮るか、どの軸を跨いではいけないか。これが一枚で分かれば、以後のカットは毎回同じ説明を繰り返さなくていい。
先に立ち位置図を作る一番のメリットは、左右関係が崩れないことだ。2人会話でAが左を向き、Bも左を向いていたら、互いに話しているように見えない。3人会話はもっと分かりやすい。誰が誰を圧しているか、誰が逃げているか、誰が証拠を握っているかは、空間関係で決まる。立ち位置図で、カメラが机のどちら側にいるかを決めれば、逆カットでも軸を跨がない。
机や小道具がずれるのも防げる。中国語系ショートドラマでは、契約書、カードキー、録音機、スマホ、薬瓶、親子鑑定がよく衝突の証拠になる。これらが机の中央から端に移動したり、次のカットで消えたりすると、話が切れる。立ち位置図で小道具を場面資産として固定しておけば、ショット表は毎回同じ位置を参照できる。
3つ目のメリットは、ガチャ回数を減らせることだ。空間仕様がないと、生成は人物、家具、小道具、カメラの運任せになる。プロンプトを磨いているつもりでも、実はたまたま崩れない1枚を引いているだけだ。先に立ち位置図を描くのは一手増えるように見えるが、失敗を「ランダム」から「審査可能」に変える作業だ。
4つ目のメリットは、長尺のつなぎに耐えることだ。15秒以内の衝突なら、3〜4カットで持たせられる。30秒を超えるなら、空間の錨に何度も戻って、同じ部屋にいると視聴者に分からせる必要がある。立ち位置図がないと、長い区間のつなぎは素材集みたいになる。
場面配置図の描き方
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まず空間の境界を決める。場面を1文で書く。夜の法律事務所の会議室、長机が画面の中央、ドアは左奥、窓は右奥、冷たい白い天井灯、机の上に契約書と録音機。空間はシンプルにする。豪邸、階段、バルコニー、多人数の移動まで一気に盛り込まない。
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家具を固定する。机、椅子、ドア、窓、ソファ、モニター、棚みたいな大きいものは先に決める。家具は空間の骨組みであり、カメラ切り替えの基準点でもある。毎カット違う部屋を生成しない。
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重要な小道具を固定する。契約書はヒロイン側、録音機は机の中央、スマホは周衡の右手側、水差しは悪役の動線の外。小道具の位置は、飾るためではなく、話のために置く。
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人物を置く。各キャラは番号とアセット庫参照で書き、関係語だけで済ませない。ZH-001 林知夏は右前景、ZH-002 周衡は左後景、ZH-003 陈总は入口の中景。前、中、後。左、中、右。向きと視線も明記する。
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カメラ位置を置く。カメラAはヒロインの寄り、カメラBは主人公のリアクション、カメラCは3人関係、カメラDは机の証拠。各カメラに、どちら向きから撮るかと、跨いではいけない軸を書いておく。軸ずれは左右関係が反転する最大の原因だ。
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誰がしゃべるかを書く。各カットには主話者を1人だけ決め、残りは聞く、下を向く、拳を握る、視線を外す、小道具を持つ、黙る、のどれかにする。口パク責任を書き切ると、後で無理やり合わせるよりずっと安定する。
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ショット表につなぐ。後のプロンプトでは、部屋全体を毎回書き直さない。「場面配置図S-01を流用、カメラA、ZH-001が発話、ZH-002は聞き役、契約書の位置は固定」だけでいい。短いほうが強い。
15秒・30秒のショット分割と最小修正
ArcLoopでは、キャラアセット庫、立ち位置図、ショット表、アフレコ割り当て、チェック結果を同じ創作空間に置く。そうすれば、どこか1カットが崩れても、直すのはカメラ位置、口パク、小道具の位置だけで済む。複数人会話全体を全部やり直す必要はない。
15秒以内なら、3〜4カットがおすすめだ。関係カットで位置を示し、主話者の寄りで衝突を進め、聞き役のリアクションで圧をつなぎ、証拠の寄りか問い返しで小さなフックを作る。15秒の中で3人が順番に長台詞をしゃべると、ほぼ口パクが崩れる。
30秒前後なら、15秒ごとに2ブロックへ切る。1回目で証拠を出し、2回目で問い詰めるか反転させる。各ブロックに少なくとも1回は空間の錨を戻す。3人関係のカット、机の証拠、入口の圧、固定カメラなどだ。そうすると、つないでも別の部屋に見えない。
複数人同フレームは使いすぎないこと。2人同フレームは比較的安定、3人同フレームは前中後と左中右をはっきりさせる必要がある。4人以上は遠景の空気カットか、リアクションカットに分けるほうがいい。商用ショートドラマでは、複数人同フレームは衝突の見せ場、サムネ候補、反転の切り出しに向く。普通の情報整理は、1人寄りにしたほうが安い。
口パクが不安定な時は、正面長台詞を無理に守らない。聞き役のリアクション、証拠の寄り、手の動き、後ろ姿、ドアの足音に切り替えるか、重要な一言だけ最後の数文字の口パクにする。保険の切り方を先に決めておくといい。2人同フレームが失敗したら、話者の単独寄りに切り替える。3人の立ち位置が崩れたら、前景の圧、証拠の寄り、聞き役のリアクションに分解する。
字幕の場所も先に空ける。縦型ショートドラマでは、画面下3分の1に字幕を置くことが多い。口、スマホ画面、契約書の署名、録音機の赤い点を字幕帯に置かない。立ち位置図とショット表の両方に、字幕セーフゾーンを書いておく。
ArcLoopでの具体的な手順を説明します。
IP Projectを開き、My Assetsへ移動します。シーンに登場する人物ごとにCharacterを作成してください——Lin Zhixia、Zhou Heng、Chenをそれぞれ一つ。参照画像をLibraryにアップロードし、最も明確な一枚を各キャラクターのMain imageとしてBindします。同じキャラクターが異なる衣装を着る場合は、追加の画像を同じcharacter assetのReference imageとしてBindします。これらは同一人物として扱われます。
Assetの準備ができたら、Episodeに移動してGenerate Shotsをクリックします。ArcLoopがエピソードをshot cardに分割します。各カードを開き、@を入力してキャラクター名を引用してください——そのShotで新たに加わる情報だけを書きます:カメラ位置、動作、道具の位置、話し手。顔や衣装はAssetにあるので再記述は不要です。
リップシンクについては、shot cardごとに主要な話し手を一人だけ指定してください。リスナーのリアクションが必要な場合は、説明文に明記することで、不要な口の動きを防げます。
複数のShotをまとめて生成するには、AI Chat Panelを開き、Generate videos for Shots 1, 2, and 3.と入力します。ステージングスペックと照らし合わせて確認してから次のブロックへ進みましょう。Shotが崩れた場合は、そのカードだけを修正し——カメラの注記や道具の位置を調整して——単体で再生成します。
承認したShotをEditタイムラインに並べ、15秒ブロックごとに空間アンカーのShotが最低一回含まれているか確認してからExportしてください。
そのまま使えるプロンプト例
例 1: 複数人会話の立ち位置図
Wide shot of the law firm conference room at night. @Lin Zhixia stands front-right, leaning forward with both hands on the table. @Zhou Heng sits back-left, eyes down, gripping the edge of his chair. @Chen stands mid-ground in the doorway, arms crossed. The contract lies on the table closer to Lin Zhixia; the voice recorder sits center-table. Cool white overhead light. Camera holds at a three-quarter angle from the right side — do not cross the axis. No character changes position. Subtitle-safe zone: bottom quarter of frame is clear.
この仕様の大事な点は、派手に書くことではない。誰が、何を、どのカメラで、どこにいるかを固定することだ。
例 2: 立ち位置図から30秒ショット表にする
Break this scene into a 30-second shot list using the established staging: @Lin Zhixia front-right, @Zhou Heng back-left, @Chen mid-ground at the doorway. Contract and voice recorder positions unchanged. Camera stays on the right side of the axis throughout. Two 15-second blocks: Block 1 — Lin Zhixia slides the contract across the table, Zhou Heng looks down without touching it; Block 2 — Chen steps one pace into the room, Lin Zhixia straightens up. For each shot: duration, camera position (A/B/C/D), shot size, speaker, listener reaction, prop positions, lip-sync note, edit point, fallback cut if the shot fails.
ショット表は、そのまま生成と編集の指示になる必要がある。各カットに1つの役割だけ持たせ、失敗しても単体で撮り直せるようにする。
例 3: 完成カットの立ち位置と口パクチェック
Review this finished scene against the staging spec. Characters: @Lin Zhixia, @Zhou Heng, @Chen. Check: (1) Does each character hold their established left-right position across cuts? (2) Does the camera stay on the correct side of the axis? (3) Do the contract and voice recorder stay in place — or drift? (4) Does the speaker's mouth move on their lines and stay closed when listening? (5) Do subtitles clear the mouth area and the contract signature? (6) Does the scene return to a spatial anchor between the two 15-second blocks? Flag each issue as: pass, fixable in editing, or needs a redo, with the smallest fix described.
審査はケチをつけるためじゃない。お金を節約するためだ。編集で直せるなら撮り直さない。立ち位置と身分が壊れているなら、無理に救わない。
よくある破綻と直し方
1つ目は、「会議室で複数人が話す」とだけ書くこと。直し方は、先に俯瞰の立ち位置図を描いてから、ショット表を書くことだ。空間が先に安定していれば、人物も安定する。
2つ目は、2人の見分けがつかないこと。直し方は、キャラアセット庫に戻って、顔の形、髪型の輪郭、衣装の裁ち、配色、小道具の錨点を確認する。必要ならキャラアセットシートを足して、同じページに置いても見分けられるようにする。
3つ目は、机や椅子が毎カット変わること。直し方は、家具を場面資産として扱い、毎回のプロンプトで作り直さないこと。
4つ目は、重要小道具がずれること。直し方は、小道具に番号を振って位置を固定し、ショット表で毎回同じ場所を参照する。契約書、録音機、スマホみたいな証拠系小道具は特に厳しく管理する。
5つ目は、カメラが軸を跨ぐこと。直し方は、カメラの領域を決め、逆カットでも左右が反転する位置に回さないこと。すでに跨いでしまったカットは、軽ければリアクションショットで逃がし、重いなら撮り直す。
6つ目は、複数人が同時にしゃべること。直し方は、1カット1主話者にして、他は聞き役に回す。長台詞は短く分ける。2つの口が同時に重要情報を持たないようにする。
7つ目は、口パクがずれること。直し方は、台詞を短くし、証拠の寄り、手の動き、聞き役の沈黙へ切り替える。重要な一言は、話者の寄りで見せる。重要でない台詞は、オフの声にしてしまっていい。
8つ目は、同じ場面だからずっと同フレームでなければならないと思い込むこと。同じ場面でも、毎秒3人そろっている必要はない。立ち位置、視線、小道具、声がつながっていれば、単独のリアクションや小道具の寄りでも場面感は保てる。むしろ量産にはそっちの方が向いている。
ショットを差し替える前に、話者の問題を切り分ける
生成に失敗したら、まず次の表で確認します。声の割り当て違い、聞き手の不要な口の動き、編集のタイミング違いでは、直す場所が異なります。
| 見える・聞こえる問題 | 最初に確認すること | 必要最小限の修正 |
|---|---|---|
| 人物は合っているが声が違う | セリフの話者と選択した声 | 音声の割り当てを直します。映像の演技が合う場合だけ残します |
| 別の人物のセリフ中に聞き手の口が動く | 生成映像の演技 | その映像を差し替えるか、意図的にリアクションや小道具のアップへ切り替えます |
| 話者は正しいが早口になる、言葉が抜ける | セリフの長さと使える尺 | セリフを短くするか、尺を長くします |
| 質問より先に返答が流れる | 編集上のショット順と音声の位置 | 再生成の前に順序を直します |
| ショット間で顔が変わる | キャラクターの参照画像と選択したアセット | 人物の一貫性を、会話のタイミングとは別に直します |
まず消音で口の動きを確認し、次に映像を見ずにセリフの順序と間を確認します。消音にしても不要な口の動きは消えません。音声を差し替えても口の動きが自動で同期するわけではなく、プロンプトで話者を一人に指定しても結果は保証されません。使えるリアクションは残し、失敗した発話の演技だけを再生成します。
よくある質問
場面配置図は必ず画像にしないとだめ?
必須ではない。文字の俯瞰図、表、簡単なASCII方位でもいい。大事なのは、人物、家具、小道具、カメラ、視線、字幕セーフゾーンが明確なことだ。
2人会話でも立ち位置図は必要?
必要だ。机や椅子、小道具、逆カット、口パクの条件があるなら、2人会話こそ立ち位置図が効く。左右ずれ、視線ずれ、聞き役の口パク暴走が起きやすい。
AIショートドラマの複数人同フレームは、何人まで安定する?
基本は2人が一番安定。3人は前中後、左中右、発話責任をはっきりさせる必要がある。4人以上は、遠景の空気カットか、短いサムネ的な画に分けるのがいい。
口パクは完全一致じゃないとだめ?
重要な台詞はできるだけ合わせるべきだ。特に正面寄りと反転台詞は大事。重要でない台詞は、リアクションショット、手の動き、後ろ姿、証拠の寄り、オフの声で負荷を下げられる。
もう生成した複数人カットは直せる?
まず立ち位置図で審査する。軽い口パクずれ、短い小道具のずれ、字幕が少し端を隠す程度なら、編集、リアクションショット、寄りで救える。左右関係が反転した、机や椅子が丸ごと変わった、キャラが入れ替わった、こういう時は基本撮り直しだ。
立ち位置図って、演技の自由を縛る?
縛らない。固定するのは関係、位置、口パク責任だけだ。表情、間、手の小さな動き、聞き役の反応、テンポは変えられる。





