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AI動画における小道具リファレンス画像の設計方法

サーベルのコンセプトシートと2つの実写動画例を通じて、小道具の外観やディテール、人物が持った際のスケール感を揃えるリファレンス作成法を解説します。

AI動画を生成する際、小道具(プロップ)の形状が崩れたり、質感が変わってしまったり、サイズが急に大きくなったり小さくなったりする問題がよく起こります。複数のカットをまたいで同じアイテムを一貫して登場させるには、プロンプトで繰り返し「一貫性を保つ」と指示するだけでは不十分であり、事前の段階で適切なリファレンス画像を用意しておく必要があります。リファレンス画像に何を描き、どの程度の精度で提示すべきかは、動画の種類やそのカットで伝えるべき情報によって決まります。

1. 動画の種類に応じて小道具の要件を決める

リファレンス画像を準備する前に、まずその動画が「商品紹介」なのか「ストーリー主導の映像(映画やショートドラマなど)」なのかを確認します。この2つでは、優先して押さえるべき情報が異なります。

商品紹介や広告動画では、アイテムそのものが主役であり、視聴者にとって「実在する同じ商品であるか」が明確にわかる必要があります。このタイプのリファレンスには、使用権を持つ実際の商品写真を優先して使い、すべての画像が同じモデル・同じ色・同じバージョンであることを確認してください。異なるロットや別パーツが写った画像を混在させると、モデルが存在しない製品構造を勝手に合成してしまう恐れがあるため避けましょう。照明の変化によって表面の反射が変わることはあっても、ヘアライン加工の金属がツルツルしたプラスチックに変わったり、見栄えを良くするために実際の構造が改変されたりしてはなりません。

たとえば保温ボトルの動画を作る場合、リファレンス画像はカットごとの役割に分けて準備できます。

  • 実商品のメイン画像:ボトル全体の曲線、フタの比率、持ち手の位置、ブランドロゴを完全に示し、過度な遮蔽や極端なパースを避けた画像です。物撮りカットにおける基本的な外観を固定するために使います。
  • パーツおよび状態別のディテール画像:脚本のアクションに合わせて、フタのネジ山、ボタン構造、またはフタを開けた状態の内側の飲み口などを補足します。フタを開けて飲むカットがあるにもかかわらず開いた状態のリファレンスがない場合、実物とは異なる内部構造が生成されてしまうことがあります。
  • 手持ちのスケール比較画像:手でボトルを握る位置や、人物に対するボトルの相対的なサイズ感を示します。これにより、人物カットに切り替わった途端に保温ボトルがバケツのように巨大化したり、ミニチュアのコップのように縮んだりするのを防ぎます。

一方、映画やショートドラマにおける小道具は、主にキャラクターやアクション、ストーリー展開を支えるために存在します。視聴者は小道具の裏側にあるネジ1本まで鮮明に見る必要はありませんが、「誰の持ち物か」「どう使うのか」「物語の中でどんな役割を果たすのか」を認識できなければなりません。たとえば携帯する武器であれば、シルエットが際立っているか、キャラクターが自然に握って抜刀できるかが重要になります。また、手がかりとなるカードキーや古い形見の品であれば、物語を動かす欠けや番号、ひび割れなどの特徴がクローズアップでしっかり判別できるかどうかがポイントになります。

物語用のすべての小道具を、工業図面のような精密な三面図にする必要はありません。まずは実際のカットに映る特徴を特定し、形状・質感・重要な識別ポイントを明確に示した上で、生成結果を見ながら追加のリファレンスが必要かどうかを判断します。ただし、ショートドラマ内にタイアップ商品(プロダクトプレイスメント)が含まれる場合は、その商品だけは実商品の基準に従ってリファレンスを用意し、同じシーンの他の背景小道具については物語上の重要度に応じて労力を配分します。

2. 全体の外観と重要なディテール

映画やショートドラマに登場するオリジナルの主要小道具については、まず全体の外観と部分的な拡大図(コールアウト)をまとめたコンセプトシートを1枚作成するのが有効です。全体図でアイテムのシルエット、メインカラー、構造の比率を示し、部分拡大図で近景やクローズアップに映る質感や装飾を固定します。正面・側面・背面を機械的に並べる必要はありません。重要なのは、すべての拡大図が「同じ1つのアイテム」から切り取られていることであり、拡大図の中で別の巻き方や別のパーツ構造が描かれないようにすることです。

以下の英語の武器コンセプトシートは、オリジナルのサーベル(湾刀)を示したものです。画面上部には斜め前(スリークォーター)からの全体図が大きく描かれ、下部には刀身の模様、革巻きの柄(グリップ)、鍔(ガード)、柄頭(ポンメル)の4箇所が拡大表示されています。

オリジナルのサーベルと、刀身の模様・革巻きの柄・鍔・柄頭のディテールを示す英語の武器コンセプトシート

このコンセプトシートは、後続の動画生成において以下の4つの外観的根拠を提供します。

  • 刀身の模様(BLADE TEXTURE):緩やかに湾曲した刀身のカーブ、流れるような鋼の鍛造模様(刃文・地肌)、そして峰(棟)の近くにある細い装飾枠を定義しています。これらの模様は金属表面に馴染んでいる必要があり、動画の中でひび割れや発光ラインに変化してしまうのを防ぎます。
  • 革巻きの柄(LEATHER GRIP):ダークブラウンの革のシボ感、斜めに重なる巻き方、そして縁の摩耗具合を明確にしています。手で握る近景カットでは、遠景の細かい模様よりも、柄の巻き方の整合性が崩れたときの違和感が目立ちやすくなります。
  • 鍔のディテール(GUARD DETAIL):古美仕上げの真鍮の色合い、湾曲した造形、そして刀身および柄との接合部の構造を示し、各パーツの素材が同じデザインラインに属していることを保証します。
  • 柄頭のディテール(POMMEL DETAIL):多面体の真鍮製エンドパーツと、暗い色の埋め込み石の特徴を固定します。抜刀や刀を返すクローズアップにおいて、視覚的なアンカー(基準点)として機能します。

このようなコンセプトシートを作成する際は、以下の英語プロンプトを参考にできます。まず武器全体を描写し、次に4つの拡大箇所と画面レイアウトを指定します。ここでの背景の記述は、最終的に採用した淡いグレーホワイト背景のバージョンに対応しています。

Create an English weapon concept sheet for an original fictional saber.

Show the complete weapon once as a large three-quarter hero illustration.
Design: a gently curved blade with flowing steel grain and a narrow decorative border near the spine; a dark brown leather-wrapped grip; an aged-brass guard; and a faceted brass pommel with a dark inset stone.

Add four enlarged detail callouts taken from this exact weapon:
1. Blade texture and decorative border.
2. Leather grain, overlapping wrap and worn edges of the grip.
3. Guard shape, surface wear and its visible junction with the grip and blade.
4. Pommel shape and inset stone.

Keep the same shapes, materials and decorative details in the main illustration and every callout. Use fine graphite and sepia ink linework with restrained material shading on a near-white background with a faint neutral light-gray tint. Wide landscape composition with clear spacing.

English title: SABER CONCEPT STUDY
Callout labels: BLADE TEXTURE, LEATHER GRIP, GUARD DETAIL, POMMEL DETAIL.
No front-side-back views, no turnaround sheet, no dimensions, no characters and no action scene.

まずは単体のコンセプトシートで小道具そのもののデザインを確定させてから、人物が使用する画面の生成に進む方が、問題が起きた際の原因の切り分けがはるかに明確になります。最初から複雑なアクションを含むシーン画像の中で小道具と人物の動きを同時にデザインしてしまうと、手で鍔が隠れたり照明で質感が変わったりした際に、後続のカットで統一した基準を参照するのが難しくなります。

3. 実写の抜刀マルチカット例

明確な単体コンセプトシートができたら、次は動画内での動きをテストします。第1バージョンの動画では、上記のサーベルのコンセプトシートを唯一の入力リファレンス画像として使用し、鞘からの抜刀、刀身の鑑賞、刀身の模様と柄のクローズアップ、そして再び人物が刀を構える状態へと戻るマルチカットの実写動画を生成しました。

今回のテストでは、WaveSpeed 経由でホストされているオープンソースモデル MiniMax H3(非 SOTA モデル)を使用し、出力仕様は 768p、尺は約 15 秒、ネイティブ生成された音声を含んでいます。

今回使用した動画プロンプト

Photorealistic live-action cinema, 16:9. Use <Picture 1> ONLY as the exact physical SABER object design reference: one elegant curved single-edged blade with flowing watered-steel grain and delicate engraved spine border, dark brown leather-wrapped grip, aged brass curved knuckle-bow guard, faceted brass pommel with a dark oval inset. The image is a design sheet, NOT a frame or storyboard. Transform that object into a convincing real metal film prop. Do not reproduce the sheet, illustration style, labels, panel layout, or lettering. No text on screen.
A real adult man in his thirties, wearing a plain charcoal linen shirt, calmly examines this saber in a softly lit pale gray-white studio. Natural skin texture, realistic hands and weight, restrained cinematic lighting, beautiful tactile close-ups. Same man, same clothing, same saber throughout. A simple dark leather scabbard fits the curved blade. He is peacefully admiring craftsmanship, never attacking or swinging.
Create FOUR clearly distinct shots with clean editorial cuts, coherent physical continuity:
[0s-5s] Medium three-quarter shot, waist to head. The man holds the scabbard securely in his left hand, grasps the leather grip in his right, and slowly draws the entire curved blade completely free in one continuous physically plausible motion. Camera gently pushes in. Hands remain on grip and scabbard, not the edge. End with the saber visibly fully unsheathed.
[5s-8s] Cut to a close three-quarter view of his face and the blade. He raises the saber at a comfortable distance, quietly admires the blade, and slowly rotates his wrist a few degrees so a broad soft highlight travels over the watered-steel texture. Natural subtle expression of appreciation.
[8s-12s] Cut to a cinematic macro insert tracking from the flowing steel grain and engraved border near the base of the blade to the aged brass guard and leather wrapping. Preserve the distinctive guard and pommel design from <Picture 1>. Shallow depth of field; realistic metal, leather pores, tiny wear. Only one blade, no duplication or morphing.
[12s-15s] Cut back to a medium close-up from the opposite three-quarter angle, maintaining screen direction. He looks down at the guard and pommel, gently turns the grip to inspect the craftsmanship, then holds the saber still with a quiet appreciative half-smile. Keep blade shape, length, guard, leather and pommel consistent.
Audio: Native synchronized stereo production sound throughout. At 0-5s, clearly audible textured steel sliding out of a leather scabbard, a delicate brass click at release, soft sleeve and leather creaks. At 5-12s, subtle movement of clothing and grip, light natural breathing, quiet indoor room tone. At 12-15s a small leather creak as the grip turns; soft room ambience continues across cuts. Intimate realistic foley, no music, no dialogue, no subtitles. No exaggerated sword swooshes or combat sounds. Real human live action, not animation, not a sketch, no illustration overlays.

単体の武器コンセプトシート1枚のみを提供した状態でも、この動画では小道具の主要な外観的特徴が比較的よく保たれており、抜刀して鑑賞する一連の動作が表現できています。カットごとに順番に確認していくと、異なるショットサイズにおいてリファレンス画像が果たしている役割と、その限界が見えてきます。

冒頭の抜刀のミディアムショットと続く鑑賞のクローズアップでは、サーベル全体の反りや金属表面の流れるような模様が保たれており、刀身が鞘から徐々に現れる動きも描写されています。ディテールのマクロカットに切り替わると、ダークブラウンの革の巻き具合、真鍮の鍔の色合い、刀身の模様が、コンセプトシートにある同じ素材セットと対応しているのがわかります。そして再び人物が刀を持つカットに戻った際も、握る位置と小道具の状態はおおむね繋がっています。

ただし、コンセプトシートと細かく比較すると、近景における微細な彫刻模様や、鍔の局所的な曲がり具合、柄頭の装飾には、ある程度の簡略化や変形が見られます。今回の結果では、リファレンス画像によって全体のシルエット、主要な素材、核となる構造は妥当な範囲内に収められていますが、動的なカット切り替えの中で微細な模様の隅々まで完全に一致させることまでは保証できません。完成した映像をチェックする際は、ロングショットやミディアムショットではシルエット・配色・握り方の整合性を重点的に見極め、クローズアップでは重要な識別特徴が基準を満たしているかを個別に確認する必要があります。

4. キャラクターと小道具のスケール比

小道具が「同じ刀」に見えるからといって、人物が持ったときに常に適切なサイズ感が保たれているとは限りません。第1バージョンの動画では質感や特徴こそ安定していたものの、人物の手にある刀全体がやや短く見え、想定していた長いサーベルというよりは短剣に近い印象になっていました。複数カットを切り替える際には、柄の太さや、胴体に対する刀身の長さといった要素も個別にコントロールすべきポイントになります。

以前、リファレンス画像の中に寸法や比率のメモを書き込む方法を試したことがありますが、期待した効果は得られませんでした。単体画像は刀のデザインを明確に示すことはできても、人間の手や胴体、周囲の環境と一緒に写った比較対象が欠けているためです。リファレンスを用意する際、画像に寸法の数字を書き込んだからといって、実際のサイズ感が制約されたと見なすことはできません。

コミュニティでも、多くのクリエイターが同様の課題に直面しています。Reddit における MiniMax H3 の Ref2V に関する人物と物体のスケールについての議論では、投稿者が「相対的な身長を明記しても生成結果でスケールのズレが生じる」と述べており、コメント欄では「人物が物を持っているリファレンス画像を直接提供する」「比率を合わせて合成した比較画像を使う」「簡単な3Dモデルのプレースホルダーでサイズ感を示す」といった対策が提案されていました。また、人物と環境のサイズに関する別のスレッドでは、具体的なセンチメートル数を書くと効果があると感じる人がいる一方で、数値はモデルに完全に無視されたと報告する人もいました。こうした議論はクリエイター個人の経験談ではありますが、サイズ関係を視覚的に見える画像として直接描く方が、単に数字に頼るよりも直感的であることがうかがえます。

キャラクターのリファレンスと小道具のリファレンスに加えて、両者の相対的なサイズに明確な要件がある場合は、人物と小道具を同じフレームに収めたコンテ画像や設定画像を別途作成し、スケールを固定するためのアンカーとして使うことができます。

元の動画の人物イメージを引き継ぎつつ刀身を長くしてみるため、ここではまず第1バージョンの動画から人物の画面を切り出し、キャラクターリファレンス画像を1枚生成しました。この画像では、元の動画の人物の顔立ち、髪型、チャコールグレーのシャツを維持しつつ、元の動画には映っていなかったズボンと靴を補完して、完全な全身像と顔のクローズアップを作成しています。全身・側面・顔のクローズアップの構成方法については、『キャラクター三面図の設計ガイド:基本リファレンスからアセット管理まで』を参照してください。

元の動画の人物フレームから生成した、全身と顔のクローズアップを含むキャラクターリファレンス

続いて、このキャラクターリファレンス画像と元のサーベルのコンセプトシートを組み合わせ、人物が刀を持った全身のスケール比較リファレンス画像を生成しました。この新しい画像では、鋼の模様やダークブラウンの革巻きの柄、真鍮の鍔のデザインを維持したまま、意図的に刀身を長くしています。画面内で人物の全身、手で柄を握る関係、そして刀全体の長さが同時にしっかりと見える状態にし、さらに人物と刀を同じくらいの被写界深度(奥行き)の平面に配置することで、切っ先がカメラに真っ直ぐ向くことによるパースの歪みを避けています。

同じ人物が長くなったサーベルを持つスケール固定用リファレンス画像。人物の全身、握り方の関係、刀の全体像を明確に表示

このスケール固定用リファレンス画像を用意した上で、第2バージョンの動画生成を行いました。このバージョンでも引き続き WaveSpeed 経由のオープンソースモデル MiniMax H3(768p、約 15 秒、ネイティブ音声あり)を使用し、第1バージョンの英語プロンプト、生成パラメータ、ランダムシードをそのまま引き継いでいます(シード値の固定は主にテストの変数を減らすためのものであり、シードを固定するだけで画面やスケールの一貫性が保証されるわけではありません)。

リファレンス画像を入力する際、上記の全身キャラクターリファレンス画像はあくまで中間ステップとして使っただけであり、動画モデルには単独で入力していません。第2バージョンの動画に実際に入力したのは、元の単体武器コンセプトシート(<Picture 1> として指定)と、新たに追加した刀を持つ全身スケール画像(<Picture 2> として指定)の2枚です。プロンプトには、第1バージョンの内容をベースに以下の1文だけを追加しました。

Use <Picture 2> as the reference for the saber's size relative to the person, including the blade length and grip-to-hand proportions.

生成結果は以下の通りです。

2つのバージョンの動画キーフレーム比較:左列は武器コンセプトシートのみ使用、右列は刀を持つスケール比較リファレンスを追加。上段は4.5秒時点、下段は6.5秒時点

上の画像の左列が第1バージョン、右列がスケール比較リファレンスを追加した第2バージョンです。上段はそれぞれの動画の 4.5 秒時点、下段は 6.5 秒時点から切り出しています。フレームは元の動画から直接抽出したもので、刀だけを個別に拡大・縮小するような加工はしていません。2つのバージョンでは人物の姿勢や刀身の向きが異なるため、ここでは視覚的な違いを観察するために並べており、厳密な寸法測定として扱うものではありません。

小道具のコンセプトシートと人物が持った際のスケール比較画像が揃ったら、MiniMax H3 動画ジェネレーターを開き、リファレンス素材を追加して、プロンプト内で各画像が担当する役割を説明した上で、抜刀や保持、鑑賞のアクションをテストしてみてください。

2つの完成動画を比較すると、第2バージョンの動画でも同様に抜刀、鑑賞、ディテールのクローズアップをこなしつつ、視覚的に刀身が第1バージョンより明らかにスラリと長くなっており、柄と手のひらの関係も引き続きカットごとのチェックポイントとして機能しています。なお、この動画のカットはすべてミディアムクローズアップとクローズアップで構成されており、刀を持った全身が完全に映るカットは含まれていないため、この完成動画だけをもって「身長に対する刀身の厳密な比率が完全に固定された」と証明することはできません。今回の結果は、人物と小道具が一緒に写った手持ちリファレンスを補足することの1つの実例を示すものですが、その安定性についてはさらに多くのカットで検証を重ねる必要があります。

こうした動画のサイズ感をチェックする際、クローズアップのフレームとミディアムショットのフレームで画面上のピクセル長を直接比較してはいけません。カメラが寄ったときに画面内で刀が大きく見えるのは、通常の遠近法(パース)として自然な現象です。より確実なのは、抜刀、刀を持ち上げる動作、クローズアップ、人物への切り返しといった各セグメントから1フレームずつ取り出し、同じ画面内における「手のひらに対する柄の太さ」「手の甲に対する鍔の幅」「胸や肩に対する刀身の長さ」が妥当に保たれているかを観察する方法です。

5. 複数人が登場する場合の分解リファレンスの構成方法

もし1本の動画に複数のキャラクターが登場し、それぞれが自分の武器や小道具を持っている場合、すべての情報を1枚の画像に詰め込もうとすると、あちらを立てればこちらが立たずの状態になりがちです。全員が並んだ引きの画像では各小道具の細かな質感が見えにくく、かといって単体画像だけを渡すと、動画内で2人の身長差や武器の長さがちぐはぐになりやすいためです。

このような複雑なシーンに対し、前述の Reddit における MiniMax H3 のスケールに関する議論では、コミュニティメンバーから「個別のキャラクター設定+全キャラクターが並んだ身長比較図」を使ってスケールを管理するアイデアが挙げられていました。この考え方を応用すると、画面に複数人と複数の小道具が同時に登場する場合は、リファレンス資料を「個別分解リファレンス+同一フレームのスケール一覧図」の組み合わせとして整理する方法が考えられます(この複数人向けの構成方法は、現時点では応用アイデアとしての提案であり、本記事の実証ケースではまだ検証していません)。

  • 個人および対応する小道具の分解リファレンス:キャラクターごとに外観とアイテムを持った状態の画像を個別に用意するか、キャラクターと本人が持つ小道具を明確に対応づけます。たとえばキャラクターAは長いサーベルを使い、キャラクターBは古い懐中時計を持つといった場合、分解図はそれぞれの顔立ち、服装、そしてその小道具自体の質感や握り方を伝えるために使い、モデルがAの装飾をBの武器に混ぜてしまうのを防ぎます。
  • 複数人が同じフレームに並んだスケール一覧図:すべてのキャラクターがそれぞれの小道具を持って一緒に立っている全身画像を別途1枚用意します。人物の足元を同じ水平のベースラインに揃え、同じくらいの奥行き位置に配置し、極端なハイアングルやローアングルは避けます。この画像では小道具の微細な彫刻を見せることは追求せず、「AとBのどちらが高いか」「Aの刀はBの体に対してどれくらいの長さか」をモデルに伝える役割に特化させます。

動画プロンプトを記述する際は、画像番号ごとに「どの画像が特定の人物と小道具の外観ディテールを担当し、どの画像が全体の身長とサイズ関係を担当するか」を個別に指定します。あわせて、隣接するカット間で小道具がキャラクター同士でどう受け渡されるか、あるいはどう握られているかにも注意を払い、カットが切り替わった拍子にアイテムが理由もなく持ち替わったり消えたりしないようにします。

小道具のリファレンス画像を準備する際は、最終的なカットから逆算して必要な情報を洗い出すのが効果的です。まずは単体画像で外観を示し、次に部分拡大図で重要なディテールを伝え、サイズ感に指定がある場合は人物と小道具が同じフレームに収まったスケール比較リファレンスを補足します。そして生成後も必ず具体的なカットに立ち返り、それらの関係性が保たれているかを判断した上で、どの画像を追加すべきか、どのアクションを調整すべきかを決めていきましょう。

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